事業再構築補助金の位置づけ

 大型目玉予算である事業再構築補助金について、大型予算だから何としても獲得したいという企業の方も多いようです。でも、いい加減な計画でお金をもらってハイ終わり!というものではないので、今回は事業再構築補助金を申請する前に理解しておきたいこととして、あまり語られていない視点を伝えたいと思います。

補助金だから返還の必要性はない!?

 補助金と言えばもらえるものと捉えている方が多いと思います。ある意味正しくてある意味間違っています。事業再構築補助金はその申請にあたり事業計画を作り付加価値額目標を定めます。なので、この計画が未達成であった場合に返還の可能性があります。

 中小企業庁が発表した事業再構築補助金の概要資料の8ページでは以下のように書かれています。

 少なくとも卒業枠とグローバルV字回復枠については予見できない理由のない目標未達では、一部返還を求める”予定”と書かれています。通常枠と特別枠についてはペナルティ記載がありません。多くの企業が応募することになるのはこちらで金額面や数から考えてこれを全てトレースするのは現実的ではない(コストの方が高くつく)と思います。可能性としては目標未達での一部返還もありうるけれども相当に低いだろうと私は考えています。

 また、下の方に書いてある補助金活用で購入した資産についての不正や不当な行為は当然ながらNGです。露骨な不正(資料の改ざんなど)はもちろんのこと、知り合いの業者を使った割増見積り・キックバックなどももちろん不正行為ですしやめましょう。

利益が出た場合に補助金が減額される

 逆に計画を大幅に超過するなど十分な利益が出たらどうでしょうか。もらったお金で利益が出たらありがたいけど、儲かりすぎると少し罪悪感も感じます。地域に寄付をして社会貢献で企業のイメージアップにもつながる・・ということもありますが寄付などしなくても利益が出たときに補助金が実質的に減額されることがあります。

 これは「収益納付」という仕組みで補助金をもらった事業で収益が出た場合に、補助金を返還するという制度です。先ほど掲示した中小企業庁の概要資料には記述されていないのですが補助金事業に対しては収益納付の仕組みがつくことが法律で決まっています。今回の事業再構築補助金での収益納付について具体的な記述がないので条件等は何ともいえないのが実情ですが、儲かったからとむやみにキャッシュをばら撒かないようにしましょう。

最後に

 当該補助金はGビズID(プライムアカウント)が必要ですし、事業計画もきちんとつくり認定経営革新等支援機関との相談も必要ですので、それなりの時間と負担がかかります。ですが、高額な成功報酬を請求する悪質な業者もいるようなのでご注意ください。1億円の補助金獲得でも1000万の補助金獲得でも作業量はさほど変わりません。補助金が必ず獲得できるとは限らない部分もありますので成功報酬部分が必要となるのが普通ですが一律の%でなく作業量に見合った額で、足元を見られないようにご注意ください。仮に成功報酬だとしてもせいぜい10%が限度でしょう。また、”申請代行”をうたう所もありますが申請は事業者自身が行うことも明示されていいますし計画を実行するのも事業者自身です。今回記載した返還含めて後々トラブルになる可能性も考えて対応してください。悪質なコンサルタントの無謀な計画で多額の成功報酬がかかるのであれあば、補助金獲得の成功報酬ではなく事業計画を達成したことによる達成利益に対しての成功報酬とするべきではないかと思います。